2006年02月08日

父親の墓参り

176 :恋人は名無しさん :2005/10/23(日) 19:29:01
彼女と、彼女の父親の墓参りに行ってきた
幼い頃からことあるごとに暴力をふるい、彼女の体に夏でも長袖着させるような
傷跡をたくさん残したその父親は、泥酔した挙句の事故で他界したという

普段からの物静かな性格に輪をかけて朝から口数の減った彼女は、
久々の休日に付き合わせた事を気遣ってか、こっちが何度気にするなと言っても、
最小限の言葉を口にするときさえ、口ぐせのように謝った
”そこの道、左、ごめんね”、”ごめん、もうちょっと歩かないと”、”ありがとう、ごめんね”

こっちとしては、父親が彼女にした仕打ちに対して腹を立てても、目の前に本人がいる訳でなく、
といって四角い石の塊に矛先を向ける訳にもいかず、ただただ彼女についていった

これが自分の身に起きた出来事だったら、墓参りなんか絶対に行かない
墓を訪れるとしたら、それはきっと花を添えるためじゃなく、墓石に唾を吐きかけるためだ
これが自分の身に起きた出来事だったら、そのくらい恨む

だから帰り道、車の助手席に座って何か安堵というか、開放感というか、
そういう安らかな顔で大きくため息をついた彼女に、我慢できなくなって聞いた
”少しはすっきりした?”と

彼女は”うん”と答えた
恨んでないと言えば嘘になるし、故人だからと許せるものでもないけれど、
父親の暴力から逃げ出して一人で生活を始めなければ、
自分の事を好きだと言ってくれる人にも会えなかったし、
こうして頼りになるその人の隣にいることもできなかった筈だから、と

そんなことを真顔で言われて、少し気恥ずかしくなりながら
”そんなに頼れるキャラでもないと思うけど”と言うと、彼女は
”ううん、頼もしいよ、かなりね”そう言って少しだけ笑ってみせた

こんなヤツで良ければ、いつまでも好きなだけ頼ってくれれば良い
朝から一緒に居て初めて見た笑顔に少し緊張しながら、そう思った
posted by atom at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 感動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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